
たったひとりで生まれて、たったひとりで死んでいく
二〇二五年四月に放送が始まったNHKの朝の連続テレビ小説『あんぱん』を楽しみに見ていました。
もともと、やなせたかしさんが描かれた『アンパンマン』には、仏教の考え方と通じるものがあると言われています。そのためでしょうか、このドラマにも仏教を思わせる言葉がたびたび登場しました。
その中で、私の心に深く残ったのが、ヤムおじさんの
「たったひとりで生まれて、たったひとりで死んでいく。人間もそうだよ。」
という言葉です。
この言葉を聞いたとき、私は『仏説無量寿経』のお釈迦さまの言葉を思い出しました。
「世間の愛欲の中に在りて、独り生じ独り死し、独り去り独り来たりて、行に当りて苦楽の地に趣く。」
人は多くの人とのご縁に支えられて生きています。しかし、生まれることも、死ぬことも、誰かに代わってもらうことはできません。そして、自分の人生を歩むのも、自分自身です。
ドラマの一場面で語られたヤムおじさんの言葉は、お釈迦さまがお説きになった教えそのもののように、私の心に響きました。
仏さまの教えは、お寺やお経の中だけにあるものではありません。日々の暮らしの中にも、本やドラマの中にも、私たちの心に届く形で息づいています。
『あんぱん』というドラマには、そんな仏教の香りを私はたびたび感じました。
だからこそ、この言葉との出会いも、私にとってはお釈迦さまの教えをあらためて味わわせていただく大切なご縁となりました。
