353 知らざるを知らずと為すこれ知るなり

 「知らざるを知らずと為す是知るなり」知らないことを知らないこととわかることが本当の意味での知ると言うことです。という意味になるのでしょうか…。この言葉を聞いたとき私が住職になりたての頃ある先輩僧侶から聞いた言葉をふと思い出しました。それは「仏には仏の覚り 凡夫には凡夫の覚り」というものです。仏教というのは成仏道であり最終目的は悟りを開くことであります。当然私たちの関心事は仏様がお開きになった覚りとはなんだというふうになります。また仏様と同じような悟りを開きたいというふうになります。でもまずしなければならないのは私たちは凡夫なのだから凡夫の覚りなのだと教えてくださいました。また凡夫の覚りとは何かと言えば新しく何か知識を知っていくというのではなく凡夫でしかないんだなと自分のことを知っていくこと、凡夫としての自覚なのだと教えていただいたことがあります。
 仏となっていく道は決して平坦な道ではありませんし終わりの見えない旅のようなものだと言われています。ですからその道を歩み出せたとしても歩み続けることが容易ではありません。歩み続けるには初心を忘れないことが大事だと思います。自分は仏ではなくて今は凡夫なんだと。凡夫であることの悲しみに頷き続けて行くことによって仏に成る道を歩み続けていけるものなのではないでしょうか。私は仏ではないのだ、だから真実を知らず迷っている私なのだと知りつづけていくことが大事なことなのでしょう。

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